今月の一枚

2004年7月 Kodak Ektra, Ektar50mmF1.9

作例1 絞り開放 シャッター速度1/50秒 フジ・スペリア100

作例1 絞り開放 シャッター速度1/50秒 フジ・スペリア100

 

解説

現在日本カメラ博物館でジョージ・イーストマン生誕150年記念コダック・カメラ展が開催されています(7月19日まで)。イーストマンはロールフィルムの発明者であるとともにコダック社の創立者として、写真界では知らぬ人がいない存在です。 コダック社は驚くほど多数のカメラを製造しましたが、その目的は自社のフィルムの拡販にあったとされます。そのため普及機クラスのカメラが大半を占めますが、その中で今回ご紹介するコダック・エクトラは、アメリカが作った35mm判最高級カメラとしてコレクター垂涎のカメラです。

全金属製の巨大なボディーには、50mmから254mmまで対応するズーム式ファインダーと高精度な上下像合致式連動距離計が備わり、日中でのフィルム交換が可能なマガジン式カメラバックを採用するなど、機能的にはすばらしいカメラです。また、シャッターボタンが左手側にあり、巻きあげも左手で行うなど、通常のカメラとは操作が異なるおもしろさもあります。

しかしもっとも魅力的なのは、コダックの誇るエクターレンズ群でしょう。35mmから153mmまでの交換レンズがありますが、今回の写真は6月に整備が完了したエクトラで試写した中の一コマです。 写っているのは、もちろん早田清。エクター50mmF1.9レンズの絞り開放で写しました。このカメラは早田とともにエクトラ修理の達人である山本がメンテナンスを担当いたしました。

なおコダック・カメラ展には、ハワード・H・ベーカー駐日米国大使(元国務長官)がお持ちのコダック・エクトラII型が展示されています。この II型は初代エクトラのシャッター作動に関する問題を解決した改良型ですが、6台しか製造されておりません。その中の2台にはシリアル番号がつけられていていて、べーカー大使はそのうちの一台をお持ちです。 このエクトラII型はべーカー大使のご依頼により、本年2月に弊社社長早田清が修理いたしました。またII型はフィルム巻き上げ機構が初代と異なるため、初代のカメラマガジンをII型に使うための改造もいたしました。

このように弊社ではこのエクトラの完全なメンテナンスが可能ですが、カメラの構造が複雑な上に手間がかかるため、メンテナンス費用は160,000円~(標準レンズ込み)とかなり高額です。また納期も2ヶ月程度かかります。あらかじめご了承くださいませ。

H.ベーカー氏と弊社社長早田清