今月の一枚

2005年4月 フォクトレンダー プロミネント(花魁) ヘリア105mmF4.5

作例1 F11 1/100  フジ スーパーG100

 

解説

世界最古のカメラメーカーであるドイツのフォクトレンダー社が、今から70年ほど前(1932年頃)に製造したスプリング式カメラの名機プロミネントはとてもクラシックな雰囲気を持っています。

しかしフォクトレンダー社初の連動距離計が内蔵され、光学式露出計が備わり、ボディはダイカストで形成されているなど、性能的にも各部の仕上げも文字通り当時世界最高級のカメラで、その格調ある姿に根強い人気があります。 連動距離計の測距部分がボディ上部の左右に突き出ていますが、その姿が芸者の頭飾りに似ていることから、日本ではこのカメラを「花魁(おいらん)」と俗称します。測距方法は距離計内に上下に分かれて見える像を合致させます。距離計の基線長が長いため非常に測距精度は高く、ピントをはずすことが少ないカメラです。

プロミネントは70年ほど昔のカメラですから、状態によって価格に大きな差がありますが、数が少ないことや人気が高いことから一般に同時代の同クラスのカメラの中では抜きんでて高価です。レンズはフォクトレンダー社が誇った最高級レンズ3群5枚のヘリア105mmF4.5で、その写りは見事の一語に尽き、現代に通用する高性能レンズです。レンズコーティングはありませんが、カラーでの発色も鮮やかです。

プロミネントは現在も多種類のフィルムが供給されている120タイプフィルムをそのまま使えるので、実用性も十分です。さらに6x9cmと6×4.5cmをフィルム中枠の交換によって撮り分けることができます。

このカメラの整備ですが、通常のオーバーホールの範囲ですと6万円(消費税別)ですが、距離計プリズムのバルサム切れが生じている個体が多く、この部分の修理およびシャッターやレンズ、前板部繰り出し機構のメンテナンスなどすべて行うと10~12万円程度かかります。さらに外装の仕上げを非常に美しく仕上げることもできますが、これは別途ご相談ください。