今月の一枚

2005年9月 スパーブ スコパー75mmF3.5

山嵜製キャップの製作も可能

バックドアを開けたところ。

ビューレンズがお辞儀をしているところ(最短撮影位置)

スパーブの宣伝パンフレットから。ヘリアレンズを最高のレンズと言っている。

作例1 絞りF8 1/250  コニカミノルタ センチュリア100

 

解説

ドイツのフォクトレンダー社は戦前2眼レフを2種類製造しています。普及クラスの小型軽量なモデルがブリリアント(Brilliant 1932~,ドイツ語表記ではブリラントBrillant)、高級クラスが高機能なスパーブ(Superb 1933~,ドイツ語読みではズパーブ)です。

スパーブはその凝りに凝ったというか、他のメーカー特に二眼レフの王者ローライフレックスとはまったく異なる構造と操作性を有している点が非常におもしろいカメラです。またそのたたずまいはクラシカルな雰囲気が強く、眺めていてもとても楽しいカメラです。そしてその写りですが、フォクトレンダー社の誇る高性能鏡玉ヘリア75mmF3.5付きとスコパー75mmF3.5付きの描写性能はいずれも素晴らしいものです。クラシックカメラのコレクターなら、必ず欲しくなってしまうカメラと言えるのではないでしょうか。

そのユニークな構造を見ていきましょう。まずほとんどの二眼レフはフィルム送りが上下方向ですが、スパーブは左右両側にフィルム室を備え横方向にフィルムが走ります。そしてフィルム巻き上げはレバー式。コマ数計も備えていて、赤窓で1を出してからコマ数計を1にリセットすれば、あとはコマ数計だけを見てフィルムを進めることができるようになっています。 シャッターは当時最高級のコンパーですが、シャッターリングの文字の刻みが裏返しになっています。これはシャッターの前につけられた反射プリズムを通して上方から見たときに、正しい数字に見えるようにするためです。こんなユニークな機構を持っている二眼レフは、世界でこのカメラだけです。

ピント合わせと構図の決定は、一般的な二眼レフと同じく上のピントフードを開けると中のスクリーンにビューレンズを透過した光が像を結ぶのを見て行いますが、スクリーンには超小型の水準器が内蔵されていてカメラの水平を出しやすくしてあります。なによりおもしろいののは、ピントを繰り出していくとビューレンズが徐々に下向きにお辞儀するようになっており、それで近接撮影時のパララックスを補正するのです。これも他に例をみないスパーブだけの機構です。ピント合わせは下側のシャッターユニットの外側にあるヘリコイドをレバーで回すのですが、撮影レンズとビューレンズとはギアで連動しています。

写真のスパーブは最初期型で、左右の吊り環が耳型をしています。どこかでシンクロ改造されていていますが、オリジナルにはこれはありません。 撮影レンズはヘリアとスコパーですが、ヘリアの方が高級レンズということもあり、現在もスコパーよりは高価です。写りについては甲乙つけがたいと思っています。

スパーブも弊社で完全な整備が可能です。オーバーホール料金は30,000円(税別)です。修理のご相談は遠慮なくお問い合わせください。