今月の一枚

2006年5月 オートコード  ロッコール75mmF3.5

右側側面。

ピントノブ。

ロッコール75mmF3.5レンズ

カメラ内部。

巻き上げ機構部。

作例1 F5.6 1/50秒 フジ160S

 

解説

ミノルタ・オートコードは性能と品質、操作性の良さが見事にバランスした、国産二眼レフカメラの最優良品のひとつです。すでに2005年8月にミノルタフレックスの作例をご紹介していますが、ミノルタフレックスの廉価版として1953年に発売されたミノルタコードが発展し、1955年に今回の初代オートコードが登場します。

オートコードのシリーズはセレン光電池式単独露出計を内蔵したオートコードL(1955)、カウンター部を交換することでスーパースライドフォーマットである4x4cm判18コマの撮影が可能なオートコードRA(1957)、そして1961年にはシャッターと絞りが連動するライトバリュー式を採用したオートーコードRGが発売されました。1965年に登場した最終型であるオートコードⅢ型およびCdS式単独露出計内蔵のオートコードCdSⅢ型では、裏紙のない220タイプフィルムを使用して24枚撮りが可能となりました。

オートコードはピント合わせの方法が独特で、ボディ前板下部に左右にスウィングするノブがあり、これが内部のヘリコイドに連動して前板部を前後させて合焦します。その操作は左手指で行うことができ、シャッターボタンから右手指を離すことなくピント合わせを行うことができるため、カメラをしっかりホールディングでき手ぶれしにくいと言えます。

またクランク巻き上げでセルフコッキング(自動シャッターチャージ)ですから、操作が簡単です。フィルム装填はスタートマーク式セミオートマットで、もちろん自動巻止めです。もうひとつオートコードの優れた特徴は、ローライフレックスなどの一般的な二眼レフとは逆にフィルムが上から下に走るため、露光前にボディ底部でL字にフィルムを強制的に曲げられることがなく、フィルムの平面性が良いことです。

オートコードはレンズ周囲のマウント部がローライコードなどと互換のバヨネットマウント式になっていて、これらの二眼レフカメラとアクセサリーが共通で使用できるのは大変便利です。

なによりミノルタの誇る3群4枚テッサータイプのロッコール75mmF3.5レンズは、本当に良く写ります。ピントのあったところは最周辺部まで非常にシャープ、前後のぼけはなめらかです。今回の作品もフィルムスキャナーでスキャンした画像データをA3ノビサイズにプリントして現在弊社に飾ってありますが、ご好評をいただいております。

オートコードのオーバーホール料金は30,000円(税別)です。反射ミラーが痛んでいる場合のミラー交換部品代(7,000円)などは別途となります。修理については遠慮なくご相談ください。