今月の一枚

2006年6月 スーパーフジカシックスM フジナー75mmF3.5

折り畳んだところ。

背面から。

MXFの切替があるセイコーシャMXシャッター。

シャッターの内部。

作例1 F5.6 1/125秒 フジPRO160S

 

解説

富士写真フイルムはフィルムメーカーとして活躍してきただけでなく、様々なフォーマットのカメラを多数製造してきた大カメラメーカーです。その初期の名機のひとつが、今回ご紹介するスーパーフジカシックスです。6x6cm判スプリングカメラのシリーズです。

初代フジカシックスIASは1948年の発売で、板金ボディに折り畳み式ファインダー、赤窓式巻き上げというツァイス・イコン社のイコンタシックスによく似たシンプルなカメラでした。レンズはフジ75mmF4.5、シャッターはロータスでした。

その後機能的に発展し5代目のフジカⅡCS(1952)ではアルミダイカストボティとなり、固定ファインダーを覆う上部カバーが独特な曲線で構成されています。その特徴あるデザインは、今ならばエルゴノミックデザインとでも言われそうなもので、一目見るだけで強い印象を受けることでしょう。 レンズは3群4枚テッサータイプのフジナー75mmF3.5となり、その写りは素晴らしいものがあります。個人的な経験としてはフィルムメーカーが作ったカメラにはレンズが良いものが多く、特にカラーでの発色が美しいと感じられるように思います。コニカやコダック、アグファそしてこのフジと、良い写りに感心するレンズが備わったカメラは多数あります。

フジカシックスは1955年、一眼式連動距離計を備えたシリーズ最高級機、スーパーフジカシックスとなります。6x6cm判専用となりフィルム送りもスタートマークを合わせるセミオートマット式自動巻止めを採用、二重露出防止装置も内蔵、機能的にはセルフコッキングではないことをのぞけば、スプリングカメラとして十分に完成したということができるでしょう。そして外観デザインは、やはり独特の曲面デザインで優美です。もちろんレンズはフジナーで、蛇腹による内面反射防止効果もあり、そのすっきりとした描写と特にリバーサルで使用した時の発色の良さは特筆すべきものではないかと思います。

今回のカメラはシリーズ最終機のスーパーフジカシックスM(1956)で、シャッターがX接点を備えた国産最高級のセイコーシャMXとなり、これによりストロボが使用可能となりました。夜間撮影まで対応したいなら、この機種を選ぶ必要があります。

スーパーフジカシックスは、間違いなく国産スプリングカメラの最優良品の一つであり、スプリングカメラファンにも中判カメラで作品制作を目的とするアナログ写真愛好家にも、お勧めできるカメラのひとつです。

弊社では一般的なオーバーホール(30,000円、税別ハーフミラー交換費用込み)はもちろん、蛇腹交換やレンズ再研磨といった修理が可能です。遠慮なくお問い合わせください。