今月の一枚

2006年7月 コンタックスS ビオター58mmF2

斜めから。

シャッターダイアルと巻き上げノブ。

シャッター内部機構。

ボディ内部。

シンクロ接点は三脚穴の中にある。

M42マウント部。

ツァイス・イコン社とコンタックスのロゴ。

作例1 F8 1/200秒 コニカセンチュリア100S

解説

このところ中判カメラばかり取り上げていましたので、今回はライカ判のカメラです。 「コンタックス」というカメラネームは、カメラ界のビーグネームではありますが、修理を受ける立場としては必ず「どのコンタックスですか?」と聞き返さなくてはなりません。つまり戦前からのレンジファインダー・コンタックスか、今回ご紹介する東独の一眼レフカメラであるコンタックスか、そしてつい先日カメラ事業を投げ出してしまったキョーセラのコンタックスか確認が必要になるわけです。そして前二者なら修理可能ですとお答えすることになる次第です。

さて東独のコンタックスシリーズは、第二次世界大戦後まもない1948年に登場したコンタックスSから始まります。コンタックスSは一眼レフカメラ隆盛の礎になったカメラといって良く、それはファインダー光学系に初めてペンタプリズムを採用し、アイレベルで正立像を観察しながら撮影できるという画期的な性能を備えていました。 35mm一眼レフはイハゲー社のキネ・エキザクタからその歴史が始まりますが、コンタックスSまではウエストレベルファインダーでカメラの上から左右逆像のイメージを観察しながら撮影していたのです。

コンタックスSはM42プラクチカマウントを採用しているため、様々なM42マウントのレンズを楽しむことができます。コンタックスSは一眼レフとしては初期の傑作機ですから、まだレンズの自動絞り機構やミラーのクイックリターン機構といった機能は搭載されていませんので、使い方はごくシンプルです。 このカメラは低速シャッターと高速シャッターの切り換え方が独特で、背面のノブで切り換えます。シャッターダイアルをセットするときには、ダイアルを下に押しながら回します。低速シャッター時にはスローガバナーの動作と共に、シャッター速度ダイアルがゆっくりと回転するのが楽しいカメラです。

今回の作例は、当時の大口径標準レンズ、ビオター58mmF2を使用しました。ビオターは4群6枚のガウスタイプのレンズで、開放では柔らかめの描写ですが、少し絞ると非常に鮮鋭な写りとなります。良く写るレンズだと思います。 以上、詳しくは写真工業誌2006年2月号に解説いたしましたので、そちらもご覧いただければ幸いです。

なお東独一眼レフのコンタックスの整備は、ほとんどの場合シャッター幕交換が必要です。したがって整備費用は6万円(税別)以上かかるとお考えください。またカメラの状態が悪いと、修理不能となる場合もあります。まずは遠慮なくご相談ください。