今月の一枚

2011年10月 ニコンS ニッコールH50mmF2

2011年10月 ニコンS ニッコールH50mmF2

背面から。メガネをかけているとファインダーは見づらい。

フォーマットは24x34mmで、通常のライカ判より長辺が2mm短い。

シリアル番号が8桁のSは約1200台しかないといわれている。普通は7桁。

作例1 必勝 F11 1/200

作例2 熊の湯温泉 F8  1/200

作例3 笠岳峠の茶屋  F8  1/200

作例4 ほたる温泉 F11 1/200

作例5 第六天榊神社  F8  1/200

作例6 第六天榊神社  F8  1/200

作例7 東西めぐりん F11 1/200

 

解説

2011年7月の今月の一枚では、ニッカⅢBとライカ・スクリューマウントのニッコールH50mmF2をご紹介いたしましたが、今回は最近私の手元に来たニコンSとニッコールH50mmF2をご紹介することにいたしました。

今月ニコン1というデジタルカメラが発売になりましたが、ニコンⅠ型といえば現在もクラシックカメラ市場で300万円前後の値段がつけられる、ニコン最初の35mm判フィルムカメラのことです。ニコンI型は戦後間もない1946年9月には設計が完了していたそうですが、実際に製品が販売されたのは1948年のことで、製造台数も758台と言われておりごくわずかでした。ニコンⅠ型はフィルム送りが7孔で、撮影サイズが24x32mmとライカ判より小さいことが問題となり、これを8孔送り24x34mmとしたのが次のニコンM型で1949年の秋頃に登場しています。M型は製造番号の前にMの文字が入っていますが、S型の初期にもMの刻印のあるものが知られていて、MS型と呼ばれています。ほかにもM型にはいろいろなパリエーションがあることが知られていて、まだニコンが試行錯誤?しながらカメラを製造していた時代のカメラと言えます。M型もわずか約1,600台しか製造されていません。

ニコンS型はニコンM型にシンクロ接点を備えたカメラといえるものですが、1951年に登場し生産台数も約36,000台と、ニコンではじめて量産されたカメラでもあります。品質も良く性能も安定し、今でも整備をすれば静かなシャッター音やクリアなファインダーがよみがえり、確実な写真が撮れるカメラです。実際、作例をごご覧いただければ、7月のニッカの時と同様によく写ることをご了解いただけることでしょう。ニコンSシリーズは本当に素晴らしいカメラだと思います。なおニコンSにもいろいろなバリエーションが知られていて、コレクションの観点からもおもしろいカメラです。

弊社ではニコンSシリーズカメラとSマウント用ニッコールレンズの修理を、長年お受けいたしております。詳細については、遠慮なくお問い合わせください。

作例写真 フィルムはすべてフジカラーG400