今月の一枚

2015年1月 ニッコールO オート 35mmF2 + Nikon F

201501_camera1L

ニッコールO 35mmF2 最初期型 正面

ニッコールO 35mmF2 最初期型 正面

ニッコールO 35mmF2 最初期型 背面

ニッコールO 35mmF2 最初期型 背面

純正フード、純正フィルターを装着したところ

純正フード、純正フィルターを装着したところ

奉納  F11 1/250

奉納  F11 1/250

浅草寺本堂天井画 F2開放 1/30

浅草寺本堂天井画 F2開放 1/30

ゴロゴロ会館 F11 1/125

ゴロゴロ会館 F11 1/125

影向堂 F11 1/250

影向堂 F11 1/250

浅草神社 F11 1/250

浅草神社 F11 1/250

東京スカイツリー F11 1/250

東京スカイツリー F11 1/250

今月は弊社に修理のご依頼をいただいたニコンFとニッコールOオート35mmF2レンズで、整備完了後に試写いたしました写真をご紹介いたします。

ニコン初の35mmF2レンズであるニッコールOオート35mmF2レンズは、1965年(昭和40年)12月に発売になりました。Oの文字が示すとおり、レトロフォーカスタイプの6群8枚構成です。ニコンF用35mmレンズとしては、ニコンFが発売された1959年の8月にニッコールSオート35mmF2.8レンズが登場していたので、その約6年後にようやく1段明るいレンズができたことになります。その後登場した現在までニッコール広角中最も明るいニッコールNオート35mmF1.4レンズ(現行品はAiニッコール35mmF1.4S)は、1971年3月にニッコールレンズ初の多層膜コーティング仕様で発売されています。

ニッコールOオート35mmF2レンズは、1973年9月にF1.4レンズ同様マルチコート化されたO・Cレンズとなり、1975年10月にはゴム巻きのピントリングをそなえるなど外観デザインが変更されたNewニッコール35mmF2となりました。そして1977年3月ニコンカメラへの絞り値伝達方式がAi化されると同時に、Aiニッコール35mmF2が登場します。私は大学生の頃このレンズを入手し、今でも愛用しています。さらに1981年9月に絞り制御が改良されたAiニッコール35mmF2Sとなり、長年にわたり発売が続けられていましたが2005年頃生産終了となりました。このような変遷を経ているにもかかわらず、光学系は1965年の発売当初から生産終了まで約40年間変更がありませんでした。基本性能の優秀性を示すものと言えるでしょう。なお最後期レンズは多層膜コーティングがニコン・スーパーインテーグレーテッド・コーティングに変更され、さらに描写が良くなっているというメーカーのコメントがありました。また35mmF1.4レンズも同様に設計変更がなく、まもなく44歳となる現在も販売が続けられています。

この35mmF2レンズは、開放からシャープでかっちりした描写です。光が弱くコントラストの低い条件下でもしっかりとした像を結びます。歪曲収差は少なく画面の周辺で直線が醜くゆがむということがなく、安心して建物の撮影にも使えます。カラーでの発色はややおとなしめで、最近の彩度が高いフィルムとの組み合わせでは、むしろちょうど良い色再現になるように思います。前ぼけも後ぼけも変な癖がありません。どの絞りでも破綻のない安定した描写が、このレンズの長寿の理由だったと思っています。作例を見ていただければお分かりいただけるように、今回の最初期型のニッコールOオート35mmF2レンズは、その鮮明な描写に現在もまったく不足はありません。ニッコールの名玉として、語り継がれていって欲しいと思います。

なお弊社ではニコンFやニッコール単短焦点レンズの分解整備が可能です。どうぞ遠慮なくご相談ください。

★撮影に使用したフィルムはすべてコダックGC400ULTRAMAX