今月の一枚

2015年11月 リンホフ・スーパー・テヒニカV6x9 / テヒニカ・ジンマー100mmF5.6

201511_camera1L

背面から。

背面から。

横から。

横から。

ピントフードをあげたところ。

ピントフードをあげたところ。

スーパーローレックス6x7cm判ホルダーを装着したところ。

スーパーローレックス6x7cm判ホルダーを装着したところ。

レボルピング機構部。

レボルピング機構部。

フィルムホルダーをレボルビングしているところ。

フィルムホルダーをレボルビングしているところ。

折り畳んだところ。

折り畳んだところ。

スーパーローレックス6x7cm判ホルダーと6x9cm判ホルダー 。

スーパーローレックス6x7cm判ホルダーと6x9cm判ホルダー 。

作例1 F11 1/125

作例1 F11 1/125

作例2 F11 1/125

作例2 F11 1/125

作例3 F11 1/125

作例3 F11 1/125

作例4 F11 1/125

作例4 F11 1/125

作例4 F11 1/125

作例4 F11 1/125

作例6 F11 1/125

作例6 F11 1/125

今回ご紹介するカメラは、リンホフが1963年から生産を開始したリンホフ・スーパー・テヒニカV型の6x9cm判カメラです。本体と付属レンズ、ファインダー、ロールフィルムホルダー一式の整備をご依頼いただきました。ボディは前期型でクリーム色に塗装されていて、写真の通り美しいカメラです。

プロ用大判カメラの頂点のひとつに長年君臨してきたミュンヘンのリンホフ社は、1887年ヴァレンティン・リンホフ(Valentin Linhof)が設立しました。初めてカメラを製造したのは1898年のことで、ほとんどのカメラが木製であった時代に新素材のアルミニウムを使用した先進的なカメラを市場に送りました。1906~7年頃から全金属製でリンホフ・レンズシャッターを組み込んだ2段伸ばしのリンホフ・カメラ、3段伸ばしのリンホフ・ユニバーサルカメラ、ステレオあるいはパノラマ撮影用のリンホフ・ステレオ・パノラマカメラを市場に供給しました。1936年にはスタンダード・プレツィジョンズ・カメラとテヒニカ・プレツィジョンズ・カメラが登場しました。両方とも全金属製で外観形状はほぼ正方形でよく似ていますが、テヒニカカメラはカメラバック部を引き出してあおることができる、より複雑な構造となっていました。これらの精密そして堅牢な大判カメラはプロを中心に支持され社業は順調でしたが、第二次世界大戦中1944年に空爆で工場が壊滅しました。

戦後1945年にカメラの製造を再開、1946年にはテヒニカⅢ型を発売します。さらに1951年にはモノレールタイプの大判カメラ、カルダン(kardan)を市場に送りました。カルダンカメラはスタジオ撮影の分野でおおいに支持され、その後カルダン・カラー(1960年代)、カルダン・スーパーカラー(1970年代)と発展しました。1951年6x9cm判のもっとも小型のテヒニカⅢ型にレンジファインダーを搭載した最高級モデル、スーパー・テヒニカⅢ型が登場します。1956年には4×5インチ、5×7インチのモデルも連動距離計を内蔵したスーパー・テヒニカⅣ型となり、さらにV型、マスター・テヒニカと発展していきました。なお風景写真撮影を主とするユーザーなどの要望から、レンジファインダーなしのモデルも販売されました。

スーパー・テヒニカの6x9cm判モデルは、一般的な4×5インチ判のスーパー・テヒニカシリーズのカメラに比べ、ひとまわり小型のフィールドカメラですが機能は同等です。非常に使いやすく、堅牢そのもののボディは圧倒的な信頼感があります。このカメラをフィールドに持ち出せば、絶対良い作品が撮れるという確信を得られる、得がたい名機だと思います。

このカメラのレンズはテヒニカ用に選別されたシュナイダー社のジンマー100mmF5.6が装着されていますが、作例をご覧いただけばわかるとおり、どの写真も笑ってしまうほどよく写っています。撮影はすべて手持ちで行い、連動距離計でピントを合わせて撮りましたが、本当に信頼度が高いカメラであることを実感できました。

このセットには、テヒニカ・スーパー・アンギュロン65mmF8とテヒニカ・テレアートン180mmF5.5が付属し、内蔵のカムを切り替えることで、いずれのレンズでも距離計を使用して撮影することができます。なお距離計を必要としない撮影のために、距離計を取り除いたよりコンパクトなモデルも市場に供給されていました。

弊社ではリンホフテヒニカのボディや大判カメラ用レンズ、ホルダーのオーバーホールをお受けいたしております。遠慮なくお問い合わせください。なお蛇腹部品の交換はできません。

★撮影に使用したフィルムはフジ160PRO S