今月の一枚

2018年2月 サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8 特徴的な正面からの姿

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

透視ファインダー接眼部は左側

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

立てておくときのための脚がある

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

ルーペが高い位置にでてくる

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

ピントノブと距離指標が鏡胴側面にある

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

フィルムゲートはトンネル式

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

Dエズマール50mmF2.8レンズ

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

F8 1/200

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

F8 1/200

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

F8 1/200

サモカフレックス 35Ⅱ型/ Dエズマール50mmF2.8

F8 1/100

 

今月は独特の姿がおもしろい35mm判の二眼レフカメラ、サモカフレックス35Ⅱ型を取り上げてみました。国産カメラで35mm判の二眼レフカメラは、このカメラとトヨカフレックス35、ヤルーフレックスだけです。後はビューアルコをカメラの上に載せたアルコ35を加えても良いかも知れません。

サモカフレックス35を製造したサモカカメラは、1952年(昭和27年)に最初のカメラであるサモカ35を発売します。ベークライト製の小型ボディに50mmF3.5のレンズと3速のレンズシャッターユニットを組み込んだかわいらしい姿のカメラでした。この時代は三栄産業でした。サモカ35はⅢ型まで発展し、1956年には連動距離計が備わったスーパーサモカ35が登場します。これとは別に1955年に登場したのが、サモカフレックス35でした。

サモカフレックス35もボディはベークライト製です。シャッターはセイコーシャ・ラピッドで、レンズは自社製のDエズマール50mmF2.8で3群4枚構成だそうです。ピント合わせは上側のビューレンズを通してピントスクリーンで行います。ピントスクリーンはコンデンサレンズの下側を砂ずりマットにしたもので、四隅まで明るく見えます。さらに写真の2型はピントスクリーンにスプリットイメージが備わっていて、ルーペを併用することでより正確なピント合わせが可能になっています。ピントノブは前板部左手下側にあります。最短撮影距離は3フィートですが、専用の近接用プロクサーレンズが用意されていて10インチ近接できました。

フィルムを装てんして巻き上げると同時にシャッターセットが行われるセルフコッキング機能が搭載されていて、ボディシャッターになっているので撮影は迅速にできます。しかし実際に使ってみると、横位置での撮影は問題ないのですが、縦位置にすると構図を決めることが困難になってしまいます。このためサモカフレックス35には透視ファインダーか備わっていて、縦位置撮影はレフレックスファインダーでピント合わせをしてから、透視ファインダーで被写体を追うことができます。

1956年にはサモカフレックス35Ⅱ型に替わりますが、シャッターユニットがセイコーシャMXとなり、先ほどご説明したようにピントスクリーンにスプリットイメージプリズムが入りました。これでサモカフレックス35は終了します。サモカフレックス35は、35mm判二眼レフの中でもデザインがすっきりした美しいカメラで、実際に撮影に使ってもあまり不自由なく楽しく撮影できるカメラです。

しかしライカ判の二眼レフは珍品揃いです。今月の一枚で過去にとりあげたツァイス・イコンのコンタフレックス(「だるま」)とトヨカフレックス35のほかに、ボルシーC、フレキシレッテ/オプチマフレックス、ラッキーフレックス、ヤルーフレックスとこのサモカフレックス35だけです。カメラコレクションの一分野として考えると種類が少なくすぐに集められそうな感じがするのですが、アグファ系以外はいずれも数が少なく相当な珍品である上に、アイレスの前身ヤルー光学が製造したヤルーフレックスは現存数数十台といわれ、世界第一級のコレクションを目指しても最後のヤルーが手に入らず、ほとんどの人は挫折するといいます。そういう訳で、一生かけて取り組む価値があるかもしれません。

なお、弊社では以上すべてのカメラの整備が可能です。どうぞ遠慮なくご相談ください。

★フィルムはフジ業務用フィルム