今月の一枚

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

フォトン

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

外観はアルミ鏡胴

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

MADE IN ITALYの刻印

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

製造本数は少ない

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

純正前キャップは貴重

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

F2開放  1/200

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

F8 1/200

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

F8 1/200

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

F2開放 1/100

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

F5.6 1/200

2018年6月 クック・アモタール2インチF2

F2開放 1/200

 

今月ご紹介するイギリスのテーラー・テーラー&ホブソン社(Taylor Taylor & Hobson)製のライカスクリューマウントレンズ、クック・アモタール(Cooke Amotal)2インチF2レンズは、面白い来歴をもっています。

このレンズは元々は第二次世界大戦後間もない1948年頃に、アメリカのシカゴにあったベル・ハウエル(Bell & Howell)社が製造した、距離計連動式35mm判カメラのフォトン(Foton)の標準レンズとして世に出ました。写真でわかるように絞りは実効F値を意味するTナンバーで表記されていて、T2.2となっています。フォトンは強力な巻き上げスプリングを内蔵し、秒6コマの連続撮影が可能な高級カメラでした。発売当時の価格は700ドルだったそうで、当時のライカⅢcの倍以上と高価でした。フォトンは商業的には成功せず、まもなく500ドルに値下げされますがそれでも売れず、1950年には製造が終了してしまいました。

一説によると標準レンズとしてテーラー&ホブソン社が製造したこのクック・アモタール2インチレンズは大量に在庫が残ってしまったそうで、それをライカスクリューマウントレンズに換装して単独で販売したのが今回のレンズとのことです。おもしろいことに鏡胴にはMade in Italyの刻印がありますので、最終的なレンズ組み立てはイタリアで行われたようです。また絞りの表記はTナンバーではなく、Fナンバーに変更されています。

このレンズはオーソドックスな4群6枚構成のダブルガウスタイプです。焦点距離は2インチですので約50mm、最短撮影距離は3.5feet(約1m)です。アルミ鏡胴で外観の雰囲気はあまり高級感がないのですが、今回弊社で整備したライカⅢbに装着して撮影してみたところ、絞り開放から雰囲気のある素晴らしい描写に感心しました。さすがテーラー&ホブソン、間違いなく高級なレンズです。

弊社ではこうした古いライカスクリューマウントレンズの整備も、多数お受けいたしております。オールドレンズの性能をいかんなく発揮させるためには、適切なメンテナンスが必要です。どうぞご相談ください。

★フィルムはフジ業務用フィルム(ISO100)