シグネット35は、米国コダックが1951年に発売開始した、35mm版のコンパクトなカメラです。このカメラは日本でも良く知られていて、人気も高いようですが、それは装着されているエクターレンズの名声によるところが大きいのではないでしょうか。エクター44mmf3.5レンズは3群4枚のテッサータイプですが、開放付近から画面全体に高解像で、発色もコントラストもすばらしく、その写りの良さは現在もとても魅力的です。私もエクターレンズを無性に使いたくなるときがあり、そうするとこのカメラの出番となります。
シグネット35のもうひとつの大きな魅力は、そのその端正なデザインです。正面から見るとレンズを中心に左右対称に設計されており、その中心にコダックの赤いマークが浮き上がるあたり、なかなか心憎い印象です。上からみても、左右に同型のノブが配置され美しくまとまっています。実際このカメラはファッション雑誌でモデルの小物として使われているのを見かけることがありますし、CMに使われたこともありました。かわいらしい印象があるので、女性にも好まれるのではないでしょうか。
カメラの機能としては、エクターレンズの性能を十分生かすことができる連動距離計を内蔵し、それも60cmまでの近接撮影が可能です。ヘリコイドの回転はとてもなめらかですが、実はこれは内部にホールベアリングが入っているのです。1/25、1/50、1/100、1/300の4段階しかないコダックのシンクロ300シャッターが貧弱ですが、きちんと整備してあれば撮影に支障はありません。
このカメラの整備費用は、レンズシャッター式の連動距離計式カメラということで30,000(税別)です。ファインダーの分解清掃(必要があればハーフミラー交換)、ヘリコイドの分解注油、シャッターの分解整備、巻き上げ機構の分解整備、レンズの分解清掃とピント位置調整など必要なことを行えば、シグネット35は確実な写真を約束してくれます。修理のご相談は遠慮なくお問い合わせください。
なお、宮崎光学のカメラ用品にはこのエクター専用のフードとキャップもご用意しています。エクター用MS-26システムフードは7,000円(税別)です。
ところで、シンクロ300シャッターがだめになった場合には、レンズを生かすためにライカマウントに改造してはいかがでしょうか。宮崎ではこのシグネット35のエクターレンズをシャッターごと取り出してライカマウントに改造します。その際シャッターユニットの絞りを使うため、操作性も良好です。シャッターはバルブ位置固定とします。改造費用は、60,000円(システムフード付き、税別)です。