今月の一枚

2005年8月 ミノルタフレックスⅢ型 ロッコール75mmF3.5

作例1 絞りF8 1/250 フジ NSP 160

 

解説

弊社では以前よりローライフレックスを中心とした二眼レフカメラの整備のご依頼を多数お受けいたしておりますが、今年になってから国産二眼レフカメラの修理のご依頼が急増しています。特に今回ご紹介するミノルタのミノルタフレックスおよびオートコードのご依頼がもっとも多く、続いてヤシカマット系、リコーフレックス系の順になっています。お父様やお祖父様がお使いだった二眼レフカメラを整備して写真を撮りたいというご相談もしばしばあり、そのような場合には整備完了後カメラの使い方を一からお教えいたしております。

今回取り上げたミノルタフレックスⅢ型も、女性のお客様からのまさにそうした内容のご依頼のカメラで、修理完了後試写した中の一コマです。 ミノルタフレックスは千代田光学精工(現コニカミノルタ)が戦前の昭和12年(1937年)に発売を開始した、我が国2番目という歴史を持つ二眼レフです。今回使用したミノルタフレックスⅢ型はシリーズ最終型で、戦後の昭和29年(1954年)に発売となりレンズはミノルタの誇るロッコール75mmF3.5、シャッターは国産最高級のセイコーシャラビッドと、当時の国産二眼レフカメラのなかでも特に品質と性能にすぐれたカメラでした。

ほぼ同じ頃1953年には、廉価版としてミノルタコードが登場しますが、このシリーズが発展してオートコードになります。ミノルタフレックスがなくなった後、オートコードは完成度を高めて、最終型オートコードⅢ型および露出計内蔵のCdSⅢ型では、220フィルムも使用できるようになるなど、素晴らしい性能のカメラでした。

戦後のミノルタの二眼レフの撮影レンズは、3群4枚のテッサータイプであるロッコール75mmF3.5ですが、このレンズは本当に良く写ります。今回の作品もピントのあったところは非常にシャープ、前後のぼけはなめらかに連続し、カラーの発色も自然です。ブローニーサイズの銀塩フィルムの持つ豊かな階調、特にボケの表現力は、デジタルではまだ再現が困難なものと言えます。

整備が完了して完全な状態になったこのカメラは、きっとこれから素晴らしい写真をとり続けていくことでしょう。オートコードやミノルタフレックスなどの標準的な国産二眼レフカメラのオーバーホール料金は30,000円(税別)です。修理については遠慮なくお問い合わせください。