今月はオーストラリアのケアンズ付近で見られた皆既日食を観察してきました。11月14日早朝でしたが、雲の多い天気の中、幸運にも皆既日食の時には太陽付近が晴れてダイヤモンドリングやコロナなどを撮影することができました。ビデオ映像などは、FACEBOOKページに掲載いたしましたので、ぜひそちらをご覧ください。
さて今回の旅行では望遠鏡を2セット、カメラは6台持参したため、重量的に大変厳しく、フィルムカメラとしてなにを持っていくか最後まで迷いました。結局小型軽量で信頼性が高く失敗する心配が無いカメラとなると、やはりバルナックライカになってしまいました。長年愛用しているライカⅡFの後期型です。レンズは様々な状況で撮影しやすいように35mmレンズとし、Wニッコール35mmF2.5レンズを選択しました。実は今回持参した写真用レンズがすべてニッコールだったので、験を担いでそれに合わせたこともあります。
このレンズはニコンSシリーズ用として1952年に登場した当時、世界でもっとも明るい35mmレンズとして注目を集め、また実際描写性能も大変優れていたため、S用ニッコールの35mmレンズとしては販売上もっとも成功を収めたレンズです。またその後約50年に渡り、ニコノス用標準レンズとして形は変えつつも市場に供給され続けた歴史的なロングランレンズです。今回使用したライカマウント用レンズは、ライカコピー機の中でもその品質の高さで有名なニッカカメラに供給していたものです。S用のWニッコール35mmF2.5レンズに比べて驚くほどコンパクトな形状で、ライツオリジナルのエルマー35mmF3.5やズマロン35mmF3.5レンズと良い勝負です。非常に使いやすいレンズです。絞りリングが白の前期型と黒の後期型がありますが、いずれも比較的よく見かけるので、かなり製造本数が多いのではないでしょうか。フードはプラスチック製のスプリング式が用意されていましたが、現在ではレンズに比べてフードは非常に珍しく、そのためたいへん高価です。
このF2.5レンズはライツのズマロン同様、4群6枚のガウスタイプです。開放ではフレアの影響かややソフトな描写ですが、1段絞ると目の覚めるようなコントラストの高い高画質となります。モノクロではしっとりと写るとよく言われているレンズですが、カラーでももちろん良く写ります。作例をみていただければわかるように、鮮明なその描写は十分満足できるものです。
なお弊社ではニコンS用レンズや、ライカマウント用のニッコールレンズのメンテナンスを行っております。実績も多数ございますので、どうぞ遠慮なくご相談ください。