今月の一枚

2017年3月 ニコンS3 2000年記念モデル / ニッコールS50mmF1.4

ほとんどオリジナルを踏襲しているが、変更されている箇所がいくつかある

フィルム指標はオリジナルは20/36だが、24/36に変えられている

オリジナルはASAだが、ISOに変えられている

レンズマウントは伝統のニコンSマウント
S3MI-5 シャッターはゴム引き布幕

シャッターはゴム引き布幕

フードはオリジナルそっくり。

残念なことにケースの仕上がりが良くなかった

F1.4 開放 1/500

F2.8 1/250

F5.6 1/500

F2.8 1/500

F5.6 1/500

F5.6 1/500

委託品でニコンS3 2000年記念モデルと、ニコンS3オリンピックモデルと一緒に発売されたガウス型の新レンズ、ニッコールS50mmF1.4レンズを復刻したレンズのセットをお預かりしましたので、久々に撮影に使ってみました。

ニコンS3 2000年記念モデルは文字通り西暦2000年を記念して、1958年に発売されたニコンS3カメラを忠実に復刻したカメラとされています。また装着されているレンズは、1965年に発売されたニコンS3オリンピックモデルに装着されたレンズを、これもレンズコーティングなどは現代化して復刻したレンズです。当時はまだフィルム全盛の時代で、国内のクラシックカメラブームも頂点を極めつつあったため、このニコンS3 2000年記念モデルは大変な人気となり、当時販売価格税別48万円という高価格にもかかわらず、約8,000台も販売されたそうです。さらにその後黒塗装モデルが2,000台追加生産されています。オリジナルのS3モデルがオリンピックモデルも含めて約14,000台の販売ということですから、復刻版は白黒合わせて驚くべき数が販売されたと言えるでしょう。

このカメラの開発の経緯などは、ニコンのサイトに詳しく紹介されています。開発は水戸ニコンで行われました。私も最後のニコンSP復刻版が登場した時、写真工業誌の記事を書くため水戸ニコンまで出張して話を伺ったことを懐かしく思い出しました。
http://www.nikon-image.com/enjoy/life/works/2002/0211/

しかしその水戸ニコンも2009年に消滅、今やニコン本体の業績不振も明らかとなり、クラシックニコンのカメラやレンズの人気も極端に低迷しています。このニコンS3 2000年モデルはその驚異的販売台数が仇となり、今や買取専門店の買い取り価格は目を覆うような悲惨さです。実は私もS3の復刻は白黒両方、そしてさらにSPの復刻も手元にあります。我ながら馬鹿だと思う次第(苦笑)。

今回久々にニコンS3を撮影に使って、オリジナルと変わらないそのファインダーの見づらさに閉口しました。眼鏡をかけていると周辺がてかってほとんど見えません。しかし復刻された俗にオリンピック・ニッコール と呼ばれる50mmF1.4レンズは、定評あるシャープな描写に満足しました。少しボケは硬いですが、そんなことはどうでもいいですね(笑)

なおニコンS3ミレニアムの各部の動作が渋いと感じられている場合、オーバーホールすると調子がとても良くなります。新品未使用状態のものの整備を何度がお受けしていますが、お客様から大変喜ばれています。

フィルムはフジ業務用フィルムISO100