今月の一枚

2019年1月 ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

正面 ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

背面

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

底面

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

レンズをはずしたところ

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

ⅢcK用のHerr刻印のズミタール

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

巻き上げ軸のベアリング

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

巻き戻し軸のベアリング

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

カバーとダイカストの刻印が一致

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

シャッタードラム軸のベアリングが見える

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

シャッター幕にはK文字のペイント

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

F6.3 1/200

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

F6.3 1/200

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

F6.3 1/200

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

F2開放 1/200

ライカⅢcK + ズミタール50mmF2

F6.3 1/200

 

第二次世界大戦中の1941~43年に製造されたライカⅢcの一部(387000~392000)に、シャッター及び巻き上げ機構部にボールベアリングを実装し、作動の円滑化と低温耐性の向上を図ったモデルが少数存在します。軍用として供給されましたが、一部は市販もされたそうです。このモデルにはボールベアリング(Kugellager)が使われたことを示すKの文字が製造番号の最後に刻印されており、そのほかにも識別ポイントがあります。多くは灰色に塗装されているため、ライカⅢcグレー、あるいは単にグレーライカと呼ばれることもありますが、クローム仕上げの個体も少数ですが存在しています。

ライカⅢcKモデルは、その特殊性と希少性から昔から非常に高価に取り引きされています。そのため偽物がとても多いことでも有名です。弊社で過去に整備を依頼されたライカⅢcグレーの多くは、残念なことに偽物でした。ボディの刻印を打ち替えているので、内部の製造番号と一致せず、最も重要なベアリング部品が実装されていません。シャッター幕にKの文字が白ペイントされているものが多いですが、もちろん偽物です。塗装色も本物よりやや明るめのものが多いようです。いずれにしても本物なら現在も百万円を超える価格がつくでしょうが、偽物はまったく価値がありません。分解してみればすぐにわかることですが、入手に際しては十分な注意が必要です。

今回ご紹介するライカⅢcグレーは、分解写真でお分かりいただけるように久しぶりの本物でした。付属しているズミタール50mmF2レンズも、Heer刻印の入った本物の軍用モデルで、これが正しい組み合わせです。弊社社長の早田の手で、大変状態の良いカメラとレンズになりました。試写結果も良好で、ズミタール50mmF2レンズは開放ではすこしソフトですが、絞ると目が覚めるようなシャープな写真が撮れます。今回も楽しい試写でした。