今月の一枚

2004年12月 ローランド(I型) プラズマート70mmF2.7

作例1 絞りF6.7 1/250秒 フジG100

 

解説

ローランドは、ドイツのプラズマ-ト社(PLASMAT GmbH) が1931年(昭和6年)に発売した、金属鏡胴式カメラで世界初の連動距離計を内蔵したカメラです。ライカII型やコンタックスより1年前に登場しているこのカメラは、すでに一眼式ファインダーとなっていて、これも世界初です。まさにカメラ史上に燦然と輝く名機です。

沈胴式でコンパクトになるローランドは、120フィルムを使用して6×4.5cmのいわゆるセミ判の撮影ができるカメラとしては、なかなか使いやすいカメラです。デザインも美しく、手元に置きたいカメラの一つですが、現在その希少性もあってたいへん高価なカメラであり、数十万円の値札が当然のように付けられています。

ローランドのレンズは、プラズマート70mmF2.7という当時としては大口径のレンズで、6枚構成です。このレンズを設計したのは、テッサー、プラナー、ウナーなどを開発した、レンズ設計の超天才パウル・ルドルフ博士です。しかしこのプラズマートというレンズは、なぜかあまり良く写らないという話を今まで耳にしていました。 今回弊社にカメラのメンテナンスのご依頼があり、レンズもすべて分解清掃しピント位置の再調整を行ったローランドで撮影した写真がこれです。あまりの描写のすばらしさに、プリントを見たとき私は絶句しました。早田もこんなに良く写るんだと大変感心していました。ちまたの評判というのは、ほんとうにあてにならないものです。

なおローランドの整備は、通常の連動距離計内蔵レンズシャッターカメラの料金よりやや高い、42,000円(消費税別)です。カメラの値段にくらべればたいへん安い?ので、良く写る状態にメンテナンスして手元に置きたいものですね。整備のご用命をお待ちいたしております。