今月の一枚

2005年2月 ミランダT ズノー50mmF1.9

作例1 F8 1/250 フジG100

 

解説

1月に続いて今月もズノーでいってみたいと思います。 金属製一眼レフカメラを現在の姿にした功労者は、東独ツァイス・イコン社でしょう。ツァイス・イコンは世界で最初にペンタダハプリズムを搭載した一眼レフカメラ、コンタックスSを1949年に発売します。レンズを通した光は反射ミラーによりピントグラスに左右反対に結像するわけですが、5角形をしたペンタダハプリズムを通すと、正像で見ることができます。一眼レフカメラを圧倒的に使いやすくした世紀の大発明でした。そして現在も銀塩、デジタルいずれも一眼レフの高級機はすべてこのペンタダハプリズムを採用しています。

1947年に世田谷に設立されたカメラの修理、改造を行うオリオン精機産業は、1955年にオリオンカメラと改称します。その年の8月に発売した初めてのカメラが「ミランダT」。国産一眼レフで初めてペンタダハプリズムを採用したカメラとして、国産カメラ史に永遠に名前が残ることとなったのです。  ミランダTはそのクラシックな雰囲気のデザインがとても良いカメラです。まだクイックリターン式ミラーではなく、撮影するたびに反射ミラーがあがったままなので視野が暗転してしまいますが、ファインダーは当時としては明るく、たいへんピントの山をつかみやすいことに驚きます。シャッターの感触も良く、オリオンカメラ最初の量産機としてはたいへん良くできていると思います。 オリオンカメラは1957年にはミランダカメラとなり、様々な一眼レフカメラを発売し1976年頃までカメラを製造していました。

さてこのミランダTの名声を高めているもう一つの理由は、装着されているレンズです。写真をみればわかるように、ズノー50mmF1.9が装備されています。ズノーについては、先月ご説明いたしましたので、詳細は省略いたましますが、このズノーレンズの描写も驚くほど素晴らしいものです。 なお、ミランダTのレンズマウントは44mmのスクリューマウントと4本爪の外バヨネットの併用で、、他メーカーとの互換性はありませんが、M42マウントアダプターなどが存在しました。私の手元には写真のカメラより新しいミランダカメラ時代のミランダTがありますが、これにはアルコの50mmF2.4が装着されています。ズノー付きのミランダTは、かなり昔から中古市場でプレミアムがつけられ、美しい姿のものは大変に高価です。海外のカメラコレクターにも非常に人気が高いカメラです。

今回の写真のカメラは、つい先日、弊社でオーバーホールに加えて、シャッター幕交換、ペンタダハプリズムの再蒸着などを行い、ボディを完全なものとしました。またズノーレンズは前後のレンズの傷をとるため、2枚貼り合わせの前玉についてはパルサムをはがし、いずれも山崎光学写真レンズ研究所にて再研磨、再コーティングを行い、弊社にて元通りバルサムをはり直し、ピント位置再調整等を行ったものです。 この作例写真は、整備後のミランダTで撮影したもので、状態の良いズノーレンズの素晴らしい描写がおわかりいただけると思います。カメラをコレクションするなら、こうした美しく性能が優れたカメラを、完全に整備して手元におきたいものです。ミランダTやズノーレンズの修理のご相談は、どうぞ遠慮なくお問い合わせください。