今月の一枚

2007年3月 ビトマチックⅡa カラースコパー50mmF2.8

ビトマチックⅡa 上部。操作系がよくわかる。

ビトマチックⅡa 内部。巻き戻しノブは飛び出す。

ビトマチックⅡa 底面。手動セット式カウンターは底面にある。

ビトマチックⅡa ウルトロン付き正面。

ビトマチックⅡa ウルトロン50mmF2レンズ。

作例1 雷門 1/250 F11 コニカミノルタ・センチュリア200S

作例2 清め 1/250 F4 コニカミノルタ・センチュリア200S

作例3 色とりどり 1/250 F11 コニカミノルタ・センチュリア200S

 

解説

先月東京銀座松屋で開催された第29回ICS世界の中古カメラ市は、例年になく盛況でした。早田カメラ店のブースでは、恒例の「早川通信リターンズVol.4および4a」が配布されました。今回はビトマチックの特集をまとめてみましたが、お陰様で好評でした。そこで今月はビトマチックⅡaを取り上げることにしました。なお詳細は早川通信をご覧ください(来月の時点で弊社会員資格をお持ちの方には、ラボ通信と同時に配布いたします)。

ビトマチックはフォクトレンダーの35mm判コンパクトカメラ「ビトー」に露出計を組み込み、露出計内部に絞りやシャッター速度と連動して動く追針機構を持たせ、露出決定が容易にできるように進化したカメラです。製品の品質、たとえば外装メッキの美しさはまもなく50年になろうとするのにまるで新品のような輝きであり、その素晴らしさが手に取るだけでわかるカメラです。ファインダーは等倍で大きく見やすく、なにより撮影結果の見事さには誰もが感心することでしょう。レンズの良さに加えてボディ内部の反射防止対策が充実しているなど、手抜きなくしっかり作られたカメラだからです。

1960年に登場したビトマチックⅡa型は初代ビトマチックⅡ型の改良型で、ファインダー下部に露出計指針が表示されるようになっています。撮影対象を追いながら露出決定とピント合わせが可能となり、速写性能が向上しているのです。さらにシャッターが性能アップして、最高速度が1/500秒のプロンター500SLK-Vとなりました。 個人的にはこのモデルが好きなのですが、それは後のモデルは鏡胴の表示が刻印から印刷にかわってしまうなど、コストダウンしていることがわかってしまうからです。品質と性能のいずれもが高度にバランスしているのが、このⅡa型と言えるでしょう。

1961年頃ビトマチックⅡa型に、フォクトレンダーの誇る傑作大口径レンズ、ウルトロン50mmF2が装着された最高級モデルが登場します。ウルトロン50mmF2レンズは4群6枚の変形ガウス型で、以前はビトーⅢ型やビテッサといったフォクトレンダーの高級カメラに装着されていました。 このウルトロン50mmF2付きのビトマチックⅡaは性能と品質からいって、またその外観の豪華さからもビトマチックシリーズで最高のものではないでしょうか。数が少ないため高価ですが、ぜひ手元に一台欲しいカメラです。 もちろん一般的なカラースコパー50mmF2.8レンズ付きのモデルも、作例をご覧いただければわかるとおり、どの絞りでも驚くほど鮮鋭でカラーの発色も鮮やか、本当によく写る素晴らしいカメラです。安心してお勧めできるフォクトレンダーの傑作機です。

弊社にはビトマチックの整備のご依頼が多く、オーバーホール料金は30,000円(税別)です。どうぞ遠慮なくご相談ください。