今月の一枚

2007年4月 ローライフレックス2.8F プラナー80mmF2.8

背面から。

非常に珍しいオーバーコッヘン、オプトンPL銘のレンズ。

シュナイダー社クセノタール80mmF2.8レンズ付きの2.8F。

巻き上げ機構部。

合焦機構部。 オーバーホールは必ずここまで分解して整備する。

コンパーシャッターの分解整備。

メーターカバー付きの革ケース。

フィルム装填時は必ずフィルム厚検出ローラーの下を通さなければならない。

作例1 銭湯 F8 1/250 フジ・プロ160S

作例2 桜 F8 1/250 フジ・プロ160S

作例3 隅田川 F11 1/250 フジ・プロ160S

 

解説

最近は二眼レフカメラの人気がかつてないほど高くなっているようで、弊社への修理依頼も二眼レフカメラがたいへん多くなっています。国産ではミノルタフレックス&オートコード、プリモフレックス、ヤシカフレックス、リコーフレックスあたりが人気で、海外ではやはりなんといってもローライフレックス&ローライコードがダントツの人気を誇ります。実際、先日公開した最新の弊社修理実績でも、筆頭のライカに続くのはローライフレックスであることがおわかりいただけます。

ローライフレックスは文字通り二眼レフカメラの代名詞です。数ある金属製二眼レフカメラの始祖であると同時に、戦前から長年にわたり二眼レフの頂点に位置する名機としてカメラ界に君臨してきました。現在は旧西側諸国において製造されている唯一の二眼レフカメラ(2.8FX等)でもあります。 ローライフレックスがもっとも活躍した時代には、報道からコマーシャルまで幅広い分野でローライフレックスが使われていました。今でも弊社に整備を依頼されるプロカメラマンさんの手によって、第一級の素晴らしい商業写真がいろいろ撮影されており、それは皆さんの目にも頻繁に触れているのですが、おわかりになるでしょうか?

ただし仕事に使われるローライフレックスに対する精度と信頼度の要求は厳しいもので、同時に使用する10台ものカメラのシャッターや巻き上げの感触を可能な限り揃えたり、レンズのピント精度を最大限に追求したり、ファインダースクリーンを同じものに交換したり、さらにはレンズの状態の違いによる描写の差をできるだけ小さくするためにレンズを再研磨・再コーティングしたりと、弊社への要求もとどまるところを知らないという感じではあります。またスタジオ撮影でのライティングなどの確認のために、ポラロイドバックを装着する改造を行ったこともありました。

こうしたプロの要求とは別に、アマチュアの方からの一般的な相談としては、機械的なトラブルに加えて、ファインダーと撮影レンズのピント位置のずれや、レンズ表面の傷などが多くあります。オーバーホールでは機械的な問題の対処とピント位置のズレは対応できますが、レンズ貼り合わせ面のバルサム切れ修理や再研磨は追加料金が必要となります。また2.8Fおよび3.5Fはメーター部品の新品交換も可能ですが、こちらも別料金となります(現在は新品のメーター部品の在庫払底のため、修理不能です)。いずれにしても整備あるいは修理については、遠慮なくお問い合せください。

さて今回は前書きが長くなりましたが、ワイドローライをのぞいてローライフレックスのなかでもっとも人気が高いローライフレックス2.8Fのプラナー80mmF2.8付きを取り上げてみました。レンズはこのほかにシュナイダー社のクセノタール80mmF2.8もあって、どちらがよいかレンズ好きの間では良く議論になりますが、まあこれは好みということで、気になるなら両方揃えてみるのが良いと思います。基本的にいずれも良く写るレンズであることは間違いありません。

歴史的にみると、2.8系は初代の2.8Aがテッサー80mmF2.8、次の2.8Bはビオメタール80mmF2.8ですから、これらもコレクションという視点からは必要不可欠と言えます。 ローライフレックスは飾ってよし、写して良し、自慢して良しという名機中の名機ですから、高価であってもできるだけ状態の良いカメラを手に入れた方が良いと思います。本革ケースや純正フードなど、アクセサリーも一式揃えて、素晴らしい写真を撮影してください。

カメラのご用命は早田カメラ店に、そして整備は弊社にご依頼ください。