今月の一枚

2009年2月 宮崎R&D新製品 MS-MODE-AH アポクアリア50mmF3.5 L39 レンズ

ライカD3に装着したところ。

ライカM3にフードをつけたレンズを装着したところ。

沈胴時、専用フードとキャップをかぶせたところ。

作例A  浅草神社 狛犬 ライカM2 コダックSG400F3.5 F3.5開放 撮影距離約1.5m

作例B 浅草寺 五重塔

作例C 浅草

作例D 浅草寺の風物?はとバス。

 

解説

宮崎R&Dが2006年冬に発売したMS-MODE-S 50mmF1.3レンズは、宮崎の長年の夢であった独自の新レンズ開発を実現したもので、有名なゾナータイプのレンズを近年の高性能光学ガラスを採用することで構成枚数を極力減らしつつ、F1.3の明るさを実現したものでした。限定約180本の製造でしたが、L39マウント&ニコンSマウント一式10万円という高価格にもかかわらず、完売いたしております。 今回新たに宮崎は、アポクアリア(APOQALIA)と名付けた、新型レンズを設計・製造し販売いたします。レンズ構成はこれも有名な3群5枚のヘリアタイプですが、レンズの描写については以下、宮崎の説明をそのまま転載いたします。

「アポクアリア50mmF3.5レンズはヘリアタイプの2枚の凸レンズに高屈折率ランタン系ガラスを、3枚の凹レンズに分散の特に少ない特軽フリントガラスを使うことで、諸収差を極限まで抑えました。特に色収差はエルマー、テッサー、スコパーといった既存レンズの1/2~1/4程度、球面収差も1/2以下です。しかしヘリア特有の上品な柔らかみを意図的に加えるため、F3.5~F4の領域では収差をわずかに残し、6~10ミクロンの点像のまわりに円形の20~30ミクロンの淡いフレアを与え調整してあります。F4.5以上の絞りでは同型のヘリアタイプの高性能レンズとして知られる、アポランターやライツ・フォコターのF4.5レベルの鮮鋭像です。デジタルカメラでも十分な高解像、高コントラスト像が得られるます。」

今回のアポクオリアは、非常にコンパクトです。さらに鏡胴部を沈胴できるため、携帯時にはたいへん有利です。また専用フードが付属し、収納時には逆カブセが可能、その上に専用キャップをつけてレンズを完全に保護するようになっています。マウントはライカ・スクリューマウント(L39)ですので、広範なライカマウントカメラに使用可能です。 価格は税込み59,850で、現在弊社でご予約を承っています。なお本レンズの生産予定数は現時点では約200本となっております。

さて、今回試作品ができて参りましたので、ライカM2に装着して撮影してみました。宮崎の説明通り、F3.5開放ではフレアの影響でコントラストが低めで、その分軟らかい雰囲気の描写です。しかし解像力は高く、また画面周辺部まで安定した描写です。ただ、背景は二線ぼけ傾向が現れます。F4に絞ると急速にフレアが減少し、シャープ感が強い印象に変化します。「アポ」という名の通り、色のにじみは皆無のようです。F5.6まで絞るとコントラストが高く文句ないシャープさで、近景でも遠景でもかちっとした写真が撮影できます。F4以上に絞れば二線ぼけも目立たなくなり、きれいなボケとなります。

この写真は試作段階のレンズですので、描写についてはまだ若干変わる可能があるとのことです。またお客様の要望にもある程度は個別に対応できると宮崎は申しております。したがいましてご購入を申し込んでいただいた方には、後ほど宮崎から直接ご連絡いたしますので、レンズの性格についてご要望がございましたらご相談ください。つまり「自分の好みにあった専用レンズができる」ということになります。 以上、ご不明の点は弊社までお問い合わせください。実際の頒布はもう少し先になる見込みです。ご予約いただいた方には、順次ご案内させていただきます。

追記(2009/2/20) 宮崎より、試作レンズの問題を改善するため、レンズを一部作り直すという連絡がございました。このため実際の頒布は5月頃になる見込みです。ご了承ください。

◆(本レンズは完売いたしました)

★作例写真 撮影フィルムはすべてフジカラーG400