今月の一枚

2014年10月 エリオフレックス

201410_camera1L

フレームファインダーを起立させたところ。

フレームファインダーを起立させたところ。

裏蓋の中央は赤窓。

裏蓋の中央は赤窓。

裏蓋をあけたところ。

裏蓋をあけたところ。

レンズ部周辺。絞りが四角形。

レンズ部周辺。絞りが四角形。

作例1 エキミセ F11 1/200

作例1 エキミセ F11 1/200

作例2 エキミセ前 F11 1/200

作例2 エキミセ前 F11 1/200

作例4 木陰  F8開放 1/200

作例4 木陰  F8開放 1/200

作例5 マッサン  F11 1/200

作例5 マッサン  F11 1/200

 

今回ご紹介するエリオフレックスは、第二次世界大戦後にイタリアのミラノで活躍したフェラニア(FERRANIA)社製のカメラです。フェラニア社はボックスカメラなど、比較的簡易な初心者向けのカメラを多く製造したメーカーです。そのカメラの一部は他社製で、たとえばリンス(Lince)と名付けられたカメラのシリーズはドイツのダコラ(Dacra)社製です。またコンドル(Condor)のシリーズは、同じイタリアのガリレオ(Officine Galileo)社が製造したもので、両社で販売されました。フェラニアはフィルムも製造していました。

エリオフレックスは、1950年頃登場した120判フィルムを使用して6x6cmフォーマットの写真を撮影する、二眼レフ形式のカメラです。ファインダーはピント合わせができないブリリアント式で、カメラの全体の構造などもドイツのフォクトレンダー社製のよく知られたブリラント(Brilant)に似ています。ファインダーのピントフードには、スポーツファインダーも組み込まれています。

レンズはガリレオ社から供給を受けた、単玉のモノグ(Momog)85mmF8です。ピント調整が可能で、最短撮影距離は約1.5mです。絞りはレンズの後ろ側に配置されていて、F8~F22まで無段階で調整でき、絞りの形状は四角形です。シャッターは1/25から1/200まで4段階、バルブも可能です。シャッターのチャージはフィルムの巻き上げとと同時に行うセルフコッキングです。フィルム送りは赤窓で裏紙の1を出した後は、自動巻き止めになっていますので、撮影しやすいカメラです。そのほかシャッターボタンにはロック機構が備わっていますし、シンクロ装置も内蔵されているなど、入門機としては機能的には充実しているカメラです。

さて、今回このカメラをとりあげたのは、多くのボックスカメラと同じ単玉レンズを採用したこのカメラで、とても鮮明な写真が撮れることをご紹介したかったからです。エリオフレックスは気軽に撮影できるカメラなのですが、良く写るのには私もびっくりしました。絞りF8開放では四隅はやや甘いですが中心はシャープで、絞り込むと画面全体に調子が整います。ガリレオのモノグは素晴らしいレンズですね。実はボックスカメラの多くも、機構が単純なので撮影できる状況がある程度限られてしまうのですが、条件があえば素晴らしい写真を撮ることができます。

なおエリオフレックスには、より高級な3枚構成のフォーカシング・アナスチグマート75mmF6.3レンズが装着された、エリオフレックス2型が知られています。カメラの形状などは、ほぼ同じです。

弊社ではイタリア製のカメラも多数の整備実績がございます。遠慮なくご相談ください。