今月の一枚

2020年3月 ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4 N250-1 レンズ本体とフード、フードキャップ

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

ゼンザブロニカSボディに装着したところ

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

右がニコンS用、左がゼンザブロニカ用

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

レンズマウント部

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

ニッコールT350mmレンズは半自動絞り機構が装備されている

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

F4 1/125

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

F4 1/125

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

F4 1/125

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

F4 1/60

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

F4 1/30

ゼンザブロニカS + ニッコールQ250mmF4

F4 1/30

 

先月の「今月の一枚」で、ゼンザブロニカSを取り上げました。その際レンズはサードパーティーの三協光機株式会社が製造したスーパーコムラー50mmF3.5レンズをとりあげてみました。今月は引き続きゼンザブロニカデラックスおよびS型で使用できる、ニッコールQ250mmF4レンズをご紹介いたします。

ゼンザブロニカの交換レンズは日本工学株式会社からニッコールレンズ群が供給されました。初代D型発売時はニッコールP7.5cmf2.8とH5cmf3.5、Q13.5cmf3.5の3本だけでした。P7.5cmf2.8は4群5枚でクセノタール型、H5cmf3.5は6群6枚でレトロフォーカス型、Q13.5cmf3.5は3群4枚ゾナー型構成でした。発売時標準レンズ付きゼンザブロニカデラックス本体一式が128,000円、5cmf3.5は36,500円、13.5cmf3.5は47,500円とかなり高価でした。

その後距離計式ニコンS型カメラやニコンFの初期に供給された望遠レンズ群とまったく同じ光学系の望遠レンズ群が、ブロニカ用に登場します。 H18cmf2.5、Q25cmf4、T35cmf4.5、T50cmf5という4本のレンズです。これらのレンズはボディのレンズマウントの外側に備わった大型バヨネット部に装着し、ボディのピント調整機能はは使用せずレンズに備わったヘリコイドでピント合わせを行うようになっています。またボディの自動絞り機構には連動せず、プリセットあるいは半自動絞りでした。距離計式ニコンS型カメラ用の望遠レンズを、ブロニカにとりつけるアダプターも供給されました。

表1.ブロニカS時代のニッコール交換レンズ(1962年3月時点)

画角 絞り連動 ピント調整 価格
H5cmf3.5 77度完全自動絞り ボディー繰り出し式39.000円
P7.5cmf2.855度完全自動絞り ボディー繰り出し式23,000円
Q13.5cmf3.533度完全自動絞りボディー繰り出し式34,000円
H18cmf2.525度プリセットヘリコイド内蔵89,000円
Q25cmf418度プリセットヘリコイド内蔵58,000円
T35cmf4.513度半自動絞りヘリコイド内蔵115,000円
T50cmf59度 プリセットヘリコイド内蔵 129,000円

今回ご紹介するニッコールQ250mmF4レンズは、最初はニコンSシリーズカメラ用の望遠レンズとして開発され、市場に供給されたものです。ライカ判用レンズとして開発されたはずですが、実は6x6cm判をカバーするイメージサークルを持っていたわけです。ライカ判での使用に十分耐える高解像力を持ったレンズを、そのまま6×6判として使用するわけですから、中判用レンズとしては驚異的な高性能レンズです。実際今回の撮影結果も、6×6判をカバーする十分広いイメージサークルがあることがわかりますし、とてもシャープで素晴らしい結果でした。

機材写真でおわかりいただけるように、ニコンS用は普通絞りですが、ゼンザブロニカ用はプリセット式絞りになっていて、ピント合わせに伴う絞り操作が行いやすくなっています。このレンズを装着するとかなりの重量となりますが、手持ちの撮影でもぶれたりすることなく安定した撮影が可能でした。今回の作例写真はすべて手持ちです。これはブロニカのボディがぶれにくい構造であることも関係しています。

今では中古レンズ市場でもこのブロニカ用の各種望遠レンズをみかける機会は、大変少なくなっています。当時非常高価なレンズでしたから、販売数はとても少なかったことと推測されます。大事に後世に残したい貴重なレンズです。