今月の一枚

2007年12月 フジカGS645プロフェッショナル

本体を格納したところ。

EBCフジノン75mmF3.4レンズ。

カメラ内部。220フィルムを使用する時にはカウンターと厚板を切り替える。

フィルターを使用するためには専用フードが必要。内部に40.5mmのフィルターを装着できる。ほかに接写用アクセサリーなども用意したい。

作例1 京華城 F11 1/125 RDP3

作例2 ミスタードーナッツ F8 1/60 RDP3

作例3 台北101展望台より台北市内 F11 1/125 RDP3

作例4 圓山大飯店 F11 1/125 RDP3

 

解説

フジカGS645プロフェッショナルは、1983年3月25日に富士写真フィルム株式会社が発売を開始したセミ判(6×4.5cm判)の蛇腹折りたたみ式の中判コンパクトカメラです。蛇腹折りたたみ式カメラは1920年代から隆盛を極めましたが、1960年代にほとんど姿を消してしまいました。このGS645は世界最後の蛇腹折りたたみ式カメラなのです(その後GF670が登場しました)。

性能的には非常に優れたカメラで、蛇腹折りたたみ式にもかかわらず巻き上げレバーを操作すると同時にシャッターがチャージされるセルフコッキングになっていて、迅速な撮影が可能ですし、もちろん距離計連動でブライトフレーム方式の鮮明なファインダーで正確なピント合わせが可能です。さらにファインダー光学系に測光システムを持ち、シャッター速度リングや絞りリングと連動して、正確な露出決定が迅速にできます。軽量にするために外装はプラスチックですが、しっかりした作りのカメラです。

特筆すべきはそのレンズの良さで、EBCフジノン75mmF3.4はこのタイプのカメラとしては一般的なテッサータイプではなく、より高解像な4群5枚のクセノタールタイプを採用していることです。フィルムメーカー製レンズらしく、カラーでの発色もビビッドです。

今回初めての台湾旅行にこのカメラを携行したのですが、折り畳むと肩からさげているのを忘れてしまうくらい軽快で、しかし撮影の際には確実に写真を撮っている感覚が頼もしく、なによりその撮影結果は素晴らしいものだと言えるでしょう。220フィルムを使用すれば30枚撮りなので、フィルム交換の手間も少なくて済みます。

このように優れたカメラなのですが、一点弱点があります。それは蛇腹の材質です。オリジナルのビニール製の蛇腹が劣化してぼろぼろになってしまい、漏光のため撮影できない個体が多いのです。弊社では以前フジが修理に使用していた、耐久性のある素材で作られた新品蛇腹を修理に使用しています。このため完全な機能回復ができ、長期にわたる使用が可能です。このカメラのオーバーホール料金は30,000円(税別、以下同)、蛇腹交換費用は部品代を含め18,000円追加です。なお蛇腹交換だけの修理も特別にお受けいたしますが、その場合は24,000円となります。なおフィルム巻き上げができない場合、交換部品が入手できないため修理不能です。

実は私のカメラは、特注の赤蛇腹にしてあります。現在は色蛇腹部品は入手できなくなりました。