フジカGS645プロフェッショナルは、1983年3月25日に富士写真フィルム株式会社が発売を開始したセミ判(6×4.5cm判)の蛇腹折りたたみ式の中判コンパクトカメラです。蛇腹折りたたみ式カメラは1920年代から隆盛を極めましたが、1960年代にほとんど姿を消してしまいました。このGS645は世界最後の蛇腹折りたたみ式カメラなのです(その後GF670が登場しました)。
性能的には非常に優れたカメラで、蛇腹折りたたみ式にもかかわらず巻き上げレバーを操作すると同時にシャッターがチャージされるセルフコッキングになっていて、迅速な撮影が可能ですし、もちろん距離計連動でブライトフレーム方式の鮮明なファインダーで正確なピント合わせが可能です。さらにファインダー光学系に測光システムを持ち、シャッター速度リングや絞りリングと連動して、正確な露出決定が迅速にできます。軽量にするために外装はプラスチックですが、しっかりした作りのカメラです。
特筆すべきはそのレンズの良さで、EBCフジノン75mmF3.4はこのタイプのカメラとしては一般的なテッサータイプではなく、より高解像な4群5枚のクセノタールタイプを採用していることです。フィルムメーカー製レンズらしく、カラーでの発色もビビッドです。
今回初めての台湾旅行にこのカメラを携行したのですが、折り畳むと肩からさげているのを忘れてしまうくらい軽快で、しかし撮影の際には確実に写真を撮っている感覚が頼もしく、なによりその撮影結果は素晴らしいものだと言えるでしょう。220フィルムを使用すれば30枚撮りなので、フィルム交換の手間も少なくて済みます。
このように優れたカメラなのですが、一点弱点があります。それは蛇腹の材質です。オリジナルのビニール製の蛇腹が劣化してぼろぼろになってしまい、漏光のため撮影できない個体が多いのです。弊社では以前フジが修理に使用していた、耐久性のある素材で作られた新品蛇腹を修理に使用しています。このため完全な機能回復ができ、長期にわたる使用が可能です。このカメラのオーバーホール料金は30,000円(税別、以下同)、蛇腹交換費用は部品代を含め18,000円追加です。なお蛇腹交換だけの修理も特別にお受けいたしますが、その場合は24,000円となります。なおフィルム巻き上げができない場合、交換部品が入手できないため修理不能です。
実は私のカメラは、特注の赤蛇腹にしてあります。現在は色蛇腹部品は入手できなくなりました。