今月の一枚

2015年7月 ベビーローライフレックス・グレー

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6x6cm判ローライフレックスとのサイズ比較。

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戦後のグレーモデルとブラックモデル(最終型)。

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戦前最後のベビーローライ・スポーツ。

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背面。

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底面。

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フィルム室。

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専用のプラスチックケースに入れたところ。

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分解したところ。

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作例1 1/125 F11

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作例2 1/250 F11

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作例3 1/250 F11

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作例4 1/250 F11

ベスト判(127判)フィルムを使用するローライフレックス4×4は、117フィルムを使用するローライフレックス・オリジナル(1929年)か らほどない1931年に登場し、戦後1963年に最終型が発売されてシリーズが終了しました。その小ぶりなボディは二眼レフカメラの中でも特に均整がとれ ていて美しく、棚に飾っていても人目をひく実に楽しいカメラです。そのかわいらしさから「ベビーローライ」という素敵な通称で呼ばれています。

撮影に使用すれば戦前のテッサーレンズも戦後のクセナーレンズも驚くほど鮮明で、6x6cm判のローライフレックスに負けない素晴らしい写真を撮 影することができます。この優れたカメラは、ベスト判フィルムの入手が難しいという問題がありますが、今もモノクロネガやカラーネガを販売しているお店も あり、また120判フィルムをカットして使用する方法も昔から知られています。

1931年に登場した初代モデルは、撮影レンズがテッサー60mmF3.5で1/300秒までのコンパーシャッター付きでした。フィルムの頭出し を赤窓で行い、その後は自動巻き止めとなるという当時としては先進的な機構を搭載していました。巻き上げはクランク式です。すぐにテッサー 60mmF2.8付きのモデルも登場します。1933年にはファインダーレンズの外側にカバーがつき、その上部の窓にシャッター速度と絞り値が表示される 新型に変わりました。このモデルの後期は1/500秒のコンパー・ラピッドシャッター付きになります。 1934年にコンパー・ラピッドシャッターが装着 され、外観デザインが少し変更されたモデルが登場します。テッサー60mmF3.5レンズ付きは、販売量の減少により1935年に製造が打ち切られまし た。19.38年には、デザインを一新し銘板がダイカストになり、レンズのフィルター取り付けがバヨネット方式に変わった戦前の最終型が登場する。各部の メッキもそれまでのニッケルからクロームに変わっています。レンズはテッサー60mmF2.8付きだけです。このモデルはシャッターチャージとレリースの 操作が、ローライコードと同じとなり、連続撮影しやすくなったので、特にスポーツ・ベビーローライと呼ばれています。

戦後ベビーローライの製造は中断したままでしたが、1950年代にアメリカでライカ判より一回り大きいスーパースライドが流行したため、これに最 適な127判フィルムを使用するベビーローライの新型が登場しました。外装が緑灰色であるため、グレーベビーローライと呼ばれている、今回ご紹介するモデ ルです。この戦後型ベビーでは、フィルムの厚さを検知して自動的に1駒目をセットするフルオートマット機構が採用されました。6x5cm判のローライフ レックスでは、2本のローラーの間にフィルムを通す必要がありますが、このグレーベビーはごく普通にフィルムをセットするだけでよくなっています。巻き上 げはクランク式ではなく、ローライコードと同じノブ式になってしまいました。さらにレンズはそれまでのテッサーではなく、シュナイダー社製のクセナー 60mmF3.5となっています。また当時流行のライトバリュー方式が採用されており、絞りとシャッター速度が連動して動くのは、今ではやや使いにくいと 思います。シャッターは巻き上げと連動してチャージされるようになり、撮影はしやすくなりました。

1963年にはベビーローライの最終型である、ブラックベビーローライが登場します。外装が黒革となっているので、容易に見分けることができます。このモデルはおよそ5000台しか製造されず、数が少ないため中古市場では比較的高価に取引されています。

戦後のベビーローライは、レンズ先端のバヨネットがローライコードと同じRI型ですが、撮影レンズとファインダーレンズの間隔がローライコードよ り狭いために、ローライコード用のフードなどのアクセサリーは使えません。専用品か必要です。ベビー用のフードには、4X4の刻印があります。セレン光露 出計とフードが一体となったローライルックスもベビー専用型があります。なお、戦前のベビーローライのフィルター径はスポーツを除き28.5mmで、ス ポーツは専用のバヨネットになっています。ケースは金属製防水ケースやグレーあるいは茶色の革製ケースが用意され、ストラップは円柱状の特殊な金具で取り 付けるようになっています。

ベビーローライフレックスは、フードを上げないとシャッターが切れません。このことは意外と知られていないようで、オークションでシャッターが切れない故障品となっていたものを落札したところ、フードをあけたらまったく問題なく使用できたという話も現実にあります。

弊社ではベヒーローライフレックス全機種の整備が可能です。今回の写真も整備が完了したばかりのカメラで試写したものです。どうぞ遠慮なくご相談ください。

★撮影に使用したフィルムはマコカラー200