今月の一枚

2019年4月 アドボケイト

アドボケイト Adovocate シンメトリーのデザイン

アドボケイト(Adovocate)

アイボリーホワイトが魅力の素敵な35mmコンパクトカメラ

アドボケイト(Adovocate)

操作はシンプル。シャッターレリースはレバー式

アドボケイト(Adovocate)

三脚ネジはレンズの光軸上に配置されている

アドボケイト(Adovocate)

フィルムを巻き戻す時には、巻き上げノブを下に押し込んでスプロケットのロックを解除する

アドボケイト(Adovocate)

フィルム室。オールダイカストのボディはしっかりとした造り

アドボケイト(Adovocate)

珍品のブラックフェース。レンズは同じ英国のレイ社製ラストラー35mmF3.5

アドボケイト(Adovocate)

F22 1/30

アドボケイト(Adovocate)

F22 1/30

アドボケイト(Adovocate)

F22 1/30

アドボケイト(Adovocate)

F22 1/30

 

アドボケイト(Advocate)はイギリスのフィルム感剤メーカーとしても有名なイルフォード社が、第二次世界大戦後間もない1949年に発売した、35mm判(ライカ判)全金属製の小型カメラです。特徴は一見してわかるように、そのアイボリー色にエナメル塗装された外装色でしょう。それまでのカメラでこのような塗装色を与えられたカメラは、イギリスどころか世界的にみても類例がありませんでした。とてもおしゃれな印象を受ける素敵なカメラです。

ピントは目測式で1/200秒までのエバーセット式のレンズシャッターを備えたシンプルな構造のカメラですが、装着されているレンズの焦点距離が35mmであるという点で世界のカメラ史に残るものです。一般的な35mmフィルムパトローネを使用するカメラの中で、世界で最初に広角35mm専用機として発売されたカメラです。またイギリスで製造された35mm判レンズシャッターカメラとしては、このカメラが最初のようです。

さて初代のアドボケイトには、イギリスの誇る有名レンズメーカーのダルメーヤー(Dallmeyer)社のワイドアングル・アナスチグマート35mmF4.5レンズが装着されていましたが、1953年に登場した改良型のアドボケイトⅡ型にはより明るい35mmF3.5レンズが装着されました。さらに上位機として同じイギリスのレンズメーカーであるレイ(Wray Optical Work)社製のラストラー(Lustrar)35mmF3.5が装着されたモデルがあり、これはシャッターユニットの部分が黒色塗装されたため、特に「ブラックフェイス」と呼ばれています。さらに文献によればとロス(Ross)社のエクスプレス35mmF3.5レンズが装着されたモデルがごく少数あるそうですが、私はすでに25年以上そのモデルを探し求めているにもかかわらず実物をまだ見たことがありません。

アドボケイトは使用上難しいところは特にありませんが、一点だけフィルム巻き戻しの時に巻き上げノブを下に押すとスプロケットがフリーとなり巻き戻し可能となります。これを知らないと撮影後にフィルムを取り出せなくなってしまいます。

アドボケイトは作例写真の通り描写に優れたカメラで、そのとても洒落た外観もあいまって昔から人気が高いカメラでした。弊社ではどのモデルも整備可能です。遠慮なくご相談ください。

★作例写真 フィルムはフジ業務用フィルム(ISO100)